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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(し)58号 決定 1954年3月20日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

抗告理由第一点について。

裁判所が被告人に対し郵便に依り書類の送達を為す場合において、保釈の制限住居の定めある場合においては、保釈後その制限住居変更の許容せられた場合、又は刑訴規則六二条による書類の送達を受けるための場所の届出がなされている場合の外は、裁判所はたとえ被告人が制限住居に居住していないときでも、その事実が裁判所に明白でない限りは、右制限住居においてその住居の居住者であって同居人と目される者に書類を交付してこれを為し得るものと解するを相当とする。所論引用の判例は民訴における送達に関するものであって、保釈制限住居の定められた本件の場合には適切なものではないから、論旨は採ることができない。

抗告理由第二点について。

所論違憲の主張の理由のないことは、昭和二五年(あ)第二一五三号、同二八年四月一日大法廷判決(判例集七巻四号刑事七一三頁以下)の趣旨に照し明らかであるから、採用することができない。

よって、刑訴四三四条同四二六条一項に従い主文のとおり決定する。

この決定は裁判官小谷勝重、同谷村唯一郎の次の補足意見を除き、裁判官全員一致の意見によるものである。

裁判官小谷勝重、同谷村唯一郎の補足意見は次のとおりである。

抗告理由第二点につき、違憲を主張する以外の点の論旨については、私等は細部の点を除き論旨に同感するものである。

そして私等の意見の詳細は、前掲大法廷判決に附した私等の補足意見のとおりであるから、之をここに引用する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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